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Last updated: 2009.09.05

炭素制約下社会の勝者: ハイブリッド車とそのむこう

ビジネスの観点から言えば,「CO2を無制限に出せない社会の到来」はとりもなおさず「ビジネス環境の変化」であるわけです.豚インフルエンザの流行(これは困ったことですが)がマスク業界にとってきわめて大きな追い風となったように,その「ビジネス環境の変化」をどう追い風にしていくことができるか?が,今後の視点として重要でしょう.

この不況にもかかわらず熱いのが,自動車業界のハイブリッドをめぐる動きでしょう.たまたまの減税措置もありますが,200万円程度の「誰でも買える」価格帯のインサイト,プリウスは,車種ではトップを走っています.

とくにトヨタの戦略はきわめて強力に見えます.本来,一種の環境ブランド=高価であっても売れるハイブリッド車を,そのブランド価値をいわば捨ててまで(というと言い過ぎかもしれませんが),プリウスのカローラ化(=大衆車化)を狙っているようです.

大きな流れとして,「ハイブリッド → プラグイン・ハイブリッド(→ 電気自動車との共存)」が見えてきた中,ただですら最先端を走るトヨタが,かつ量産効果で低価格戦略を強力に推しすすめてきたなら,世界の自動車メーカーで対抗できるメーカーはないでしょう.温暖化対応がますます迫られてくる中,ハイブリッドいや乗用車の世界は,ほぼトヨタの一人勝ち... という構図が見えてきます.

もっとも,若者のもつシンプル (ミニマル) さ指向もありますので,インサイトもそれなりに売れるでしょう.その究極の姿が スマートのマイクロハイブリッド(アイドリングストップのみ)かもしれません.

その他には,エンジンを発電用にのみ用いるようなハイブリッドシステムなども戦える余地があるような気もします.

プラグイン・ハイブリッドと電気自動車が併存する近未来社会の戦略としては,電力会社とトヨタなどのアライアンスも有効でしょう.ベース電源の稼働率を上げるという意味で,プラグイン・ハイブリッドおよび電気自動車用の強力な電気料金体系を用意することができたなら,世の中はさらに大きく動いてくると思われます.

関連する新しい技術として,非接触送電などが本格化すれば,充電しながら走ることのできる社会インフラが整ってくるかもしれません(やや遠い将来でしょうが).さらにその先には,高速道路のリニアモーター化があるかもしれません.

より近い将来における勝者は,スマートグリッドを制する企業ではないでしょうか?一般家庭に多くの「電池(=プラグイン・ハイブリッド車/電気自動車)」と,PVパネルなどの発電装置がぶらさがるグリッドシステムにおいて,双方向型のコミュニケーション,すなわちグリッドのインテリジェント化,インターネット化する世界においては,どのようなあたらしいアイデアが隠れているのでしょうか?

ほんの10年ほど前までは,携帯電話やインターネットがまだあまり普及せず,5年ほど前までは Googleは知られていませんでした.iPodもそうです.そんな社会は,ごく最近であるにもかかわらず,現在想像することすらむつかしくなってきたと言えるでしょう.言い換えると,10年前,現在のような ITの「使い方」を想像できた人は世の中にほとんど皆無だったわけで,それを(米国の)新しい考え方のできた数少ない人たちが,社会を変革してきたのです.

たとえば,「プラグイン・ハイブリッド/電気自動車 + スマートグリッド + スマートメーター + 家庭用再生可能エネ発電」という業界をまたいださまざまな可能性秘めたシステムをとっただけでも,そこには非常に大きな可能性を秘めていることが,先行するインターネットの世界をみるだけで実感されるでしょう.

みなさんは,そこにどのような可能性を見いだされるでしょうか?

ちなみに,わたしは自分の好みである温暖化およびそれ以外の「社会性をもったソーシャルビジネス」における応用をいろいろ考えています.新しい社会をイメージすることができ,つくっていきたいと考える方は,ごいっしょにいかがですか?



[この文章は,ナットソースジャパンレター 2009年 7月号に寄稿したものに,少し変更を加えたものです]



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