Upper Image
Climate-Experts Logo

ウインドウ内の余白部分を左クリックすると 【メニュー】 がでます. あるいは ページ下の リンクボタン をお使い下さい.
Netscape 4 の場合,再読込ボタンが機能しないことがありますが,その場合 url 表示窓をクリックし, Enter キーを一度打って下さい.

Last updated: 2009.11.27

ネクストステップ: 5年後を見据えて

ナットソースジャパンレターも,ついに100回を迎えたということで,喜ばしい限りです.わたしの CO2ゼミナールも同じく100回目で,みなさんのお役にたっていますでしょうか?テーマのリクエストや感想などがありましたら,ぜひお知らせください.

さて,国内では民主党政権発足とともに,90年比25%の削減目標,国内排出権取引制度導入をコミットし,地球温暖化対策税も本格的検討が始まるようです.鳩山イニシアティブのデザインも必要ですね (わたしのPEARの 低炭素型エネルギー自立農村開発CDMなどが動きやすくなるといいのですが...).

そして,12月には いよいよ 2013年以降に向けてのコペンハーゲン会議です.中国が CO2排出原単位目標を出してくる可能性もあるようですね.

まさに,転換期というより「ステップアップの時期」にさしかかっていると言えるでしょう.

さて,ここですこし視野を広げて,5年後 (2014年) にどうなっているか考えてみましょう (純粋な「予測」,こうなって欲しいという「願望」などいろんな視座がありますが,自分がどの視座にたっているかは意識した方がいいでしょうね).


国際的な枠組みに関して

まず「国際的」にはどうなっているでしょうか?

コペンハーゲン会議が成功した場合にでも,そうでなかった場合にでも,おそらく

ことと思います.

その新しい秩序の名前がどのようなものか?という点はともかく,次のような点はまず間違いないのではないでしょうか?

途上国の新しいコミットメントの話は,コペンハーゲンでは決着がつかず,2年後に持ち越しになる可能性もあるかとは思いますが,5年後にはさすがに決着しているでしょう.5年後ともなると「強化」や「拡張」の話が出てきても不思議ではありませんね (いままでは2年ごとに大きな決定が行われる傾向にあります).

米国がどのようになっているかは不確実性が高いですが,さすがに5年も経てば

という可能性が高いかと思います.

欧州は,

という構図は,見えやすいですね.そして,

と想像されます (いままでは電力会社のガスへの燃料転換が主体でした).


日本に関して

日本は,新政権のもと,(評判の悪い高速道路無料化は別として)

という可能性は,

の達成手段の柱として,かなり高いと思われます.

地球温暖化対策税は,揮発油税などとの相互作用が大きいため,導入の可能性は単純ではありませんが,民主党政権が長期化すれば可能性は十分にあるでしょう (導入される場合,ひとつの主体にETSと税の両方が課せられるのはすこしおかしな制度なので,ETSのカバー外を税で... というアプローチかと思いますが).

さて,ここで「可能性」ではなく,「どうなって欲しいか?」という視点で,日本の将来の社会像を考えてみましょう.

マイナス25%の目標の是非ではなく,そうなった場合 (それを所与の条件とした場合),どのような社会が望ましいと思うか?というビジョンです.低炭素社会のイメージとして,世界に先駆けて,どのような社会をつくっていけばいいのでしょうか?

たとえば,低炭素型の人々の生活として,個々人が自分の CO2排出量を,(メール,カレンダー,収入/支出,体重などと同様に) マネージできるようなプラットフォームを社会インフラとして構築することなどがあります.スマートグリッド構想中のスマートメーターとかぶるところもありますが,発電,蓄電,売電,買電,主要機器でのエネ消費,自動車利用,公共交通利用などからの CO2 をすべて一元管理でき,同時に省エネ診断などのサービスが提供されるような社会インフラを,IT 技術をつかって構築するというものです.日本初の「国際規格」をつくることもできるでしょう.ICタグとの統合も可能ですね.5年後でしたら設計くらいなら,その意思さえあれば,十分可能だと思います.

これは一例ですが,このような「未来のビジョン」を,みなさんで描いてみて,それを実現化してみませんか?

古来,「ストレス」や「制約」は,「進化」の大きな要因であったわけです.生物の進化という大きな視点はもちろん,人間の歴史を振り返っても,自然生態系が弱いからこそ欧州が頭を使ってアフリカ・アジアを追い抜いて発展した... 資源のないからこそ今日の日本がある... という事実は確かに認められます.逆に,食物が豊富だったアフリカ,現在におけるロシアや中東などの資源大国は,どうしても「それに甘える」傾向にあったわけです.

その意味で,「ストレス」や「制約」は,進化の必要条件と言えるかもしれません.CO2の制約も,そのように認識し,果敢にチャレンジしたいものですね.



[この文章は,ナットソースジャパンレター 2009年 10月号に寄稿したものに,少し変更を加えたものです]



Move to...

Go back to Home
Top page

Parent Directory
Older Article Newer Article